かつて日本の航空会社といえば規模的にもブランド的にもJALが最大の航空会社であり、長くの間国民から国を代表する航空会社「フラッグキャリア」としての地位を確たるものとしていました。
しかし2010年の経営破たんとそれに対するANAの急成長により、現在、名実ともに日本で一番大きい航空会社の称号はANAのものとなっています。
ANAはここ数年で、将来の成長戦略の一環として国際線の本数・就航都市を飛躍的に増やすことに成功しました。そして、2019年には、パース・ウィーン・チェンナイなど、ポテンシャルの高い地域へ直行便を開設しています。
そんな勢いのあるANAが次に開設する国際線・新規就航都市があるとしたら、いったいどこが有力なのでしょうか!?
今回は、ANAの新規就航地として期待できる都市を紹介していきたいと思います!!!

新規路線の開設にあたっての条件
新規路線の開設といっても、どの航空会社も全く需要のない、もしくは将来的にも需要が見込めない路線を、開設するようなことは普通しません。
ですので今回は、以下の条件を参考にして新規開設路線を考えていきたいと思います。
①直行便需要(特にビジネス客)があるか?
航空会社に最も利益をもたらすのは会社のお金で比較的高い運賃を払えるビジネス顧客である。(観光客だと単価がかなり安くなってしまう)ですのでこの点は非常に重要。
②就航先の都市に提携先航空会社のハブ機能があるか?
ニューヨークや上海など直航便需要のある路線は限られているので、就航先の空港からトランジットでさらに別の都市へ乗り入れられる路線があるかは重要な点。(例としてJALのダラス路線は直行便需要は少ないものの、ダラス空港はJALと同じアライアンスのアメリカン航空のメインハブであるため、そこから乗り継ぎで他の空港へ行く需要が多くあります)
③将来の先行投資先としての価値があるか?
将来、大きく発展する見込みがあり、ブランド定着を狙った先行投資的な意味合いがあるかどうか。(例としてANAの成田-ヤンゴン路線はそれにあたるとANAの開設理由(IRから)戦略が見て取れる)
以上の三点を軸に考えていきます。なお今回は東京(羽田/成田)からの新規路線の予想とさせていただきます。また☆の数は可能性の高さを表します。
*この記事は2019年10月現在の情報をもとに作成されています。最新情報と異なる可能性がありますのでご注意ください。
*この記事は個人的な見解をもとに執筆されているのでその点ご留意ください。
南北アメリカ大陸

①デンバー(アメリカ・コロラド州)☆

同じスターアライアンスのユナイテッド航空の巨大ハブ機能があるため。しかし直航便需要は少ないか…。なおすでにユナイテッド航空のコードシェア便は存在し、成田‐デンバー間に就航中。
②トロント(カナダ・オンタリオ州)☆☆

同じアライアンスのエアカナダのメインハブ空港。トロントはカナダ最大の都市であり経済都市である。しかし日系企業はバンクーバーと比べると少なめか…。またエアカナダが夏は東京から一日2便飛ばしている。需要はありそうだが空港使用料が世界一高いの事と冬季には需要が激減するのがネック。
③カルガリー(カナダ・アルバータ州)☆

上記トロントと同じでエアカナダのハブがある。しかし規模的にはトロントより小さいのと、冬季に極寒のカナダへ需要があるか心配。
④ラスベガス(アメリカ・ネバダ州)☆☆

よく知られた都市のわりに日本からの直航便はない。ビジネス需要があるかは謎。お隣の国の大韓航空は毎日大型機を飛ばしており、日系の航空会社もチャーター便をたまに飛ばしている。
⑤ニューヨーク・ニューアーク(アメリカ・ニュージャージー州)☆☆

提携相手のユナイテッド航空の巨大ハブであり、ニューヨークの玄関口の一つ。現在ANAは一日2往復・大型機で運行のニューヨーク/JFK便があるが、さらに一便追加となれば、中型機787などでこちらもありかと思われる。
⑥サンパウロ(ブラジル)☆

もし南米路線開設ならここの都市しかないであろう都市。南米で最大の経済都市でJALも破産前までは就航していた。直航便は航続距離の都合就航できないのでアメリカ経由の可能性が高いか。
⑦グアム(アメリカ)☆☆

現在は運航してないANA最初の国際線就航地。最近需要は減ってきているが、日本人にはなじみの南国リゾート。ただビジネス需要は少ないイメージ。傘下のピーチで就航させる可能性は高いかもしれない。
東アジア・東南アジア
続いて日本周辺の国々です!
ANAは近年国際線用にA320型機(146席使用)を導入しました。
従来の飛行機より小さいA320を生かすのであれば、今まで中型機や大型機では需要のなかった路線も開設することができるでしょう。
①プサン(韓国)☆☆

JALなどはすでに成田‐釜山ルートを飛ばしている。ビジネスも観光もそれなりに需要はあるであろう。ただ、LCCも多く競争は激しいか。
②天津(中国)☆☆

北京から高速鉄道で1時間の大都市。ビジネス需要もある程度ありそう。A320級の小型の飛行機なら可能性が高いかもしれない。JALは名古屋‐天津間に就航しており、東京からの路線も期待できる。
③高雄(台湾)☆☆

台湾第二の都市、JAL・エバー航空・中華航空などの大手も東京から直航便を就航している。需要はあるだろうがANA傘下のピーチがすでに路線を持っているためそこがネック。
④重慶(中国)☆☆

四川盆地東部に位置する大都市。人口も多くビジネス需要もありそう。
⑤深圳(中国)☆☆☆

近年急成長した香港の近くに位置する経済都市。ビジネス需要もインバウンド需要も多そう。ちなみに深圳のGDPは巨大都市・香港をすでに超えており、北京・上海・広州に並び1大工業地帯。
⑥ダナン(ベトナム)☆

ベトナム中部の都市。小さな機材なら可能性はあるかもしれない。リゾート地でLCCのピーチが就航する可能性が高いかもしれない。
⑦デンパサール(インドネシア)☆

バリ島の玄関口。観光需要はある程度ありそうだが、LCCが就航しているため激しい争いになりそう。もしピーチが中型機(787など)を導入するならそちらに就航させそう。
オセアニア
現行オセアニアにはシドニー便とパース便(2019年9月就航)しか就航していません。
昔からオーストラリアはカンタス航空・JAL側の牙城なので参入のハードルは高そうですが、どうやら市場に参入する気は満々のようです。
①オークランド(ニュージーランド)☆☆☆

ANAの提携先、ニュージーランド航空のメイン空港。観光や留学などの中心路線となりそうだが、ポテンシャルはありそう。最大都市のオークランドから地方都市への乗り継ぎもらくちん。
②メルボルン(オーストラリア)☆☆

オーストラリア南部の大都市。JALとカンタス航空が就航しているが、ANAも長年目をつけているといわれている。何度か地元紙でANA就航のニュースが出るほどである。
③ブリスベン(オーストラリア)☆☆

こちらもかなり大きな都市。観光需要のほうが高いか。現在はジェットスターとカンタス航空が就航中。
ヨーロッパ
ANAはオーストリア・ウイーン線を皮切りに2020年にはロシアのウラジオストク・モスクワとヨーロッパへの路線を順次拡大中。
ウイーン就航発表の際には「え!?この都市に!??」といった驚きの声があったほど。次の就航がマイナーな都市の可能性も十分ある。
①ローマ(イタリア)☆

可能性はかなり低いが一応リスト入り。理由としてパートナー航空会社の不在と観光路線なので客単価が低くなってしまうこと・ビジネスクラスの利用客が少ないのではないのかということがあげられる。なお下記の他のイタリア都市やスペイン都市も同理由。
②ミラノ(イタリア)☆

③バルセロナ(スペイン)☆

④マドリード(スペイン)☆

他のイタリア・スペイン都市よりは需要がありそう。バルセロナには就航してなくとも、マドリードに就航している航空会社は多数。
⑤コペンハーゲン・オスロ(デンマーク・ノルウェー)☆☆

どちらも提携先のスカンジナビア航空のハブなので、北欧の玄関としてトランジット需要はなくもないであろう。地理的にも欧州各地に乗り継ぎやすい。
⑥チューリッヒ(スイス)☆☆

提携先、スイス航空のハブ。物価は高いが需要はあるか。西ヨーロッパの各都市への乗り継ぎ地としては最適の立地。
⑦ワルシャワ(ポーランド)☆☆

同じスターアライアンスのポーランド航空も成田便を飛ばしているが、搭乗率はなかなか好調。東・西ヨーロッパの真ん中に位置し、どちらへもアクセスしやすいため、無難な就航地なのではないかと思われる。
総括
いかがでしたでしょうか?
ANAは近年の路線拡大で、堅実な路線はすでに就航してしまっているのでなかなかリストを作るのはハードでした。
またアフリカや中東は全く入れていませんが、現在の情勢を考えると、就航は難しいかなと考えた結果です。今後、ANAがどのような路線に就航するのか非常に楽しみに思います。
また最後に、今回のリストはあくまで予想なのでその点ご留意いただきたく思います。
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