長年、ANA・JALに次ぐ「日本第三の航空会社」として存在感を示してきたスカイマークは、LCC(格安航空会社)の台頭もあり、フルサービスで運賃が割安な「中堅航空会社」として、日本を代表する航空会社です。
総二階建て旅客機であるA380型機の導入を試みての経営破綻事が記憶に新しいですが、業績は至って順調で、新体制の元、着実に勢いを取り戻しつつあります。
現在では主に、羽田・名古屋・福岡・神戸など大都市を中心に、日本全国に路線網を展開しており、近年では成田空港からのサイパン路線に就航し、日本の国内線の需要が人口の減少などで減ってゆく将来に向け、今後は国際線にも力を入れていく方針です。
そんなスカイマークは非常にコストパフォーマンスの良い航空会社であり、国内旅行では最もお勧めできる航空会社として、このサイトで何度も取り扱ってきたほど優良なエアラインでもあります。
それでは、スカイマークが優秀である理由や特徴はどういったところがあるのでしょうか?
サービス・機内仕様・就航都市・歴史・お客さんの評判等を含め、わかり易く解説します!!!
この記事は2019年12月現在の情報を参考にしています。最新の情報と異なる可能性がありますのでご注意ください。
スカイマーク概説
航空会社の解説

航空会社:スカイマーク
本拠地:羽田
ハブ空港:羽田・神戸
設立:1996年
保有機材数:29機
アライアンス:未加盟
就航都市:羽田・成田・セントレア・神戸・福岡・那覇・千歳・長崎・鹿児島・茨城・仙台・奄美大島・サイパン
スカイマークは羽田空港に本社を置き、羽田と神戸を中心に日本全国に便を飛ばす「中堅航空会社」です。
近年は、LCCの台頭で「国内第3位」の座は抜かれてしまいましたが、羽田空港発着の多くの便を運行し、ANA・JALよりも「安い運賃」で、LCCよりもサービスの良い「フルサービス」のエアラインとして存在感を増しています。
また、2019年11月には、待望の国際線「成田-サイパン」路線を定期便として開設し、今後は国際線にも注力していくそうです。
さて、スカイマーク といえば、2015年の「経営破綻」がまだ記憶に新しい方も多いのではないでしょうか?
将来の国際線進出に向け、A330型機(中型機)や総二階建てA380型機を導入しようとしたものの、会社の規模に合わない無謀な路線拡大計画から、経営破綻・上場廃止・民事再生法適用まで追い込まれてしまいました。
しかし現在は、ANAが一部株式を持ち、スカイマーク独特のサービスやシステムを維持しながら、順調に再建し、経営も軌道を修正しつつあります。
そんな最悪の事態である「経営破綻」まで追い込まれてしまったスカイマークですが、日本の国内線の中では、ずば抜けて「搭乗率」が高い航空会社であり、幅広い客層から指示を得ているエアラインでもあります。
羽田発着の札幌・福岡・神戸路線は搭乗率が90%近い盛況ぶりで、もはや「経営破綻」の面影は全く感じられないくらいの印象です。
今後は、人気の国内線を維持しつつ、国際線の拡大を図り、インバウンド・アウトバウンド共に、日本の航空会社としての知名度拡大を海外で狙っていきます。
歴史
スカイマークは1990年代の「航空自由化」の流れを汲んで誕生した航空会社です。当時、HISの社長である澤田氏らの出資により1996年に設立されました。
1998年に「羽田-福岡」路線に就航し、航空便の運行を開始します。
運行開始当初は、「大手の半額の運賃」を武器に、平均搭乗率が80%以上と勢いに乗っていました。しかし、大手航空会社が相次いで割安の運賃を導入したことから、競争が激化し、2000年代の前半から中盤にかけては、赤字垂れ流しの厳しい経営が続きます。
2008年ごろから再び業績を回復すると、知名度の向上もあり、収益も安定化、一時期はA330型機などの中型旅客機を導入します。大手より広い座席を装備し、メディアから大きく注目されました。
しかし、2014年頃にLCC(格安航空会社)が台頭し競争が激化し、さらに超大型旅客機であるA380型機の導入による債務負担が影響したと思われ、再び赤字に転落します。2015年には「経営破綻」、民事再生法が適用されるに至りました。
その後は、ANAが支援に乗り出し、B737の1機種に絞った効率的な運用で、経営状態は黒字まで回復してきています。
経営が厳しい時期が長く続き、破綻まで追い込まれたスカイマークですが、格安航空会社が台頭するまで、「第三極の航空会社」として、2000年代初頭には、大手が割安のチケットを販売するきっかけを作り、航空券の価格下落に大きく貢献したといえます。
現在は、経済も順調なこともあり、経営も安定しており、「成田-サイパン」路線を、2019年11月より開設しました。国際線は今後も拡大する計画で、さらなる展開に期待したい航空会社といえるでしょう。
就航路線
スカイマークは日本各地に飛行機を飛ばしています。
特に、ハブ空港としての機能を持つのが、羽田空港と神戸空港で、この2空港を中心に路線網を展開しています。
そして、2019年11月より、スカイマーク初となる「成田−サイパン」路線に就航し、今後は成田空港からの便も増えて行くことが期待されています。
2020年度には「成田−パラオ」路線のチャーター便を計画しており、「スカイマークでしか行けない」新規就航地への展開を方針とし、デルタ航空の撤退で、直行便がなくなっていた「サイパン路線」を筆頭に、太平洋のアメリカ領・南の島々などに焦点を当てて新規開拓を狙っている模様です。
空港 | 就航地(2019年12月現在) |
成田 | サイパン(アメリカ)・中部 |
羽田 | 新千歳・神戸・福岡・長崎(神戸経由)・鹿児島・那覇 |
新千歳 | 茨城・羽田・中部・神戸・福岡 |
仙台 | 神戸 |
茨城 | 神戸・新千歳・那覇・福岡 |
中部 | 新千歳・成田・鹿児島・那覇 |
神戸 | 新千歳・仙台・茨城・羽田・長崎・鹿児島・那覇 |
福岡 | 新千歳・茨城・羽田・那覇 |
長崎 | 神戸・羽田(神戸経由) |
鹿児島 | 羽田・中部・神戸・奄美大島 |
奄美大島 | 鹿児島 |
那覇 | 茨城・羽田・中部・福岡・神戸 |
サイパン(アメリカ) | 成田 |
保有機材
A330型機やA380型機などの大型機導入で破綻に追い込まれたスカイマークは、最も効率的な運用ができる、中型機「ボーイングB737-800型機(177席)」のみを運用しています。
大手航空会社のB737-800と、座席の広さなどはほとんど大差なく、全席「普通席(エコノミー)」の仕様です。
スカイマークの機体の特徴として、翼の先端(ウイングレット)にハート・スペード・ダイヤ等のマークが付いています。
このマークは、機体ごとで違ったデザイン・配置になっており(マークのない機体もあります)、他の航空会社では見られないユニークな仕様です。
最近では、阪神タイガースとコラボした「タイガースジェット」などを就航させています。搭乗・降機時には、阪神の応援歌「六甲おろし」が流れるそうで、阪神ファンにはたまらない機体となっています。


安全性
安全性に関しては「特に問題はない」と思われます。
近年ニュースでよく目にする「パイロットの飲酒問題」でスカイマークにも不祥事が見られましたが、就航してから死亡事故は一度もなく、使用している飛行機も世界的に信頼性の高いB737-800型機であるため、安全性は高いものだと思われます。
マイレージ・提携航空会社
スカイマークは現在(2019年)、マイレージ制度は導入していません。
また、経営破綻以降はANAも株主となっていますが、共同運行やマイルの提携等は行っていません。
ただ、デルタ航空のマイルでスカイマークの国内線航空券に交換することが可能です。
短距離の国内線(羽田-神戸など)だと片道15000マイル・その他の区間は片道20000マイルで交換可能です。
運賃・チケット
スカイマークの運賃は、「大手より若干安く、LCCより高い」運賃設定です。
予約変更不可で、3日前まで購入可能な「格安型のチケット」であれば、羽田−神戸が6900円・羽田−新千歳が8160円(最安値・筆者が販売されているのを確認したことがあるチケット)で売られていることもあります。
また、普通運賃では、羽田ー神戸が14490円(通常期)・羽田ー新千歳が23260円(通常期)と、直前購入可能な普通大人運賃でも、大手より4~6割り安い設定となっています。
大手よりかなり安い値段ですので、是非ともお勧めできます。
運賃(国内線一部) | 購入条件・期限 | 予約変更 | 参考料金(片道・羽田-神戸) |
大人普通運賃 | 大人の普通運賃 | ○ | 14490円 |
たす得 | 前日まで購入可能 | ○ | 8190円 |
いま得 | 3日前まで購入可能 | × | 7090円(最安値) |
*上記のリストは、一部国内線の代表的な運賃を参考にしています。
*参考料金は2019年12月6日時点での、2020年2月19日(水・103便)の料金を参照にしています。
荷物制限
*手荷物の詳細は公式ホームページでご確認ください。(下記の情報は2019年12月時点の情報ですのでご注意ください)
国内線
国内線の手荷物許容量は基本的に他の航空会社と大きな変わりはありません。
・機内持ち込みの場合は、三辺が55cm×40cm×25cmで合計115cmを超えず、10kg以下のもの一点に限り機内へ持ち込みが可能です。
・預け手荷物は、三辺が50cm×60cm×120cmを超えず、20kg以下(合計)のものであれば個数制限なしに預けることができます。(無料の範囲)
預け荷物(無料の範囲) | 機内持ち込み荷物 | |
大きさ | 三辺が50cm×60cm×120cm以下 | 三辺が55cm×40cm×25cmで合計115cm以下 |
重量 | 合計20kgまで無料 | 合計10kgまで |
個数 | 無制限 | 1個 |
国際線
国際線の荷物も他の航空会社とほとんど変わりません。
・機内持ち込みの場合は、三辺が55cm×40cm×25cmで合計115cmを超えず、10kg以下のもの一点に限り機内へ持ち込みが可能です。
・預け手荷物は、三辺の合計が158cmを超えず、1個あたり23kg以下(合計)のものであれば2個まで預けることができます。(無料の範囲)
預け荷物(無料の範囲) | 機内持ち込み荷物 | |
大きさ | 三辺の合計が158cm以下 | 三辺が55cm×40cm×25cmで合計115cm以下 |
重量 | 1個あたり23kgまで無料 | 合計10kgまで |
個数 | 2個まで | 1個 |
スカイマークの特徴
スカイマークの特徴はどういったところなのでしょうか?
以下リストにまとめてみました!
- 運賃が安い(大手の5.6割)
- 都心に近い羽田空港発着
- 荷物預け無料
- 座席指定無料
- ドリンク無料提供(路線によって異なる)
- キットカット無料提供(路線によって異なる)
- 2019年度定時運航率1位(2年連続)
- 機内コンセント装備(一部機体を除く)
…以上、スカイマークの強みを挙げればキリがありません。
その中でも、顧客満足度を高めている重要な特徴が ①番・②番・③番・⑦番 です。
はじめに、①番「運賃が安い(大手の5.6割)」という点ですが、LCC・スカイマーク・大手航空会社の運賃(東京-新千歳)を見比べてみましょう。
東京-新千歳比較 | 大手(ANA) | スカイマーク | LCC(ジェットスター) |
手荷物預け | 無料 | 無料 | 有料 |
ドリンクサービス | 無料 | 無料 | 有料 |
発着空港 | 羽田空港 | 羽田空港 | 成田空港 |
最安の運賃 | 9160円 | 8160円 | 4390円(最安値) |
大人普通運賃(通常期) | 37460円 | 23260円 | 4390~22410円(空席状況により変動) |
*「手荷物預け」は「無料」の場合でも個数・重量等の制限がありますのでご注意ください。
*「大手」「スカイマーク」の発着空港(国内線)は、一部「成田空港」発着の便もございます。
*運賃は2020年2月の運賃を参照しています。
最も安いのがLCC、次いで安いのがスカイマークとなっています。
しかし、LCCが都心から70km離れた成田空港から便を飛ばしているのに対して、スカイマークは②番のように、大手と同じく、都心にとても近い「羽田空港」を離発着しています。東京都心から成田空港までのアクセス時間は、羽田空港までの所要時間に比べて、1.5~2.5倍くらいかかります。また、空港までの運賃も基本的には羽田空港までの方が割安なので、アクセスが便利でお得です。
さらに、預け荷物を無料で預ける(③番)ことができ、荷物預けが有料であるLCC(最も安いタイプの運賃)と差別化を図っています。また、機内でのサービスもLCCはドリンクから機内食まで全て有料なのに対し、スカイマークはドリンクが無償提供(⑤番)され、キットカットがもらえたり(⑥番)と、安い割に大手並みのサービス水準です。
そして極め付けは、⑦番の「2019年度定時運航率1位(2年連続)」(「定時運行率」とは全体の便数に占める出発予定時刻以降15分以内に出発した便数の割合)という点です。
定時運行率1位ということは、最も遅延する可能性が低いということです。さらに、2019年度の統計で最も欠航が少なかった航空会社(国土交通省の統計)でした。
日本の国内線ではあまり遅延はないですが、「空港に着いたら飛行機の整備で2時間遅れになっていた…。帰るのが遅くなっちゃいそう…」などといった、最悪の事態に陥る可能性が、最も低い航空会社だと言えると思います。
時間に正確なため、ビジネス客からも非常に人気のある航空会社です。
このような、「安い」「羽田発着」「サービスが良い」「遅延・結構が少ない」という点から、日本の航空会社の中で、最強レベルのコストパフォーマンスを誇るのがスカイマークの特徴です。

サービスの特徴
スカイマークの機内サービスの詳細を解説いたします。
機内食・ドリンク
安いのにフルサービスのスカイマークでは、もちろんドリンクの無料配布も行われます。
一部の、短い国内線(羽田-神戸など)を除いて、コーヒーとキットカットのサービスがあります。
ただ、大手のように「たくさんのメニューから選択するドリンクサービス」という訳ではなく、「コーヒーサービスがある」と行った感じです。
ドリンクサービスがない路線もありますが、スカイマークの機内有料販売では、コーヒーが100円からで、ビールに至っては300円からとかなり良心的な値段設定となっています。
LCCだと、コーヒー一杯でも300円とかしますので、気軽に注文が出来るスカイマークの値段設定は優秀です。
一方、国際線だと、機内食が提供され、ドリンクサービスもアルコール類を含め全て無料で行われます。機内食は、日本の味を活かした「弁当タイプ」を採用しており、サイパン路線で提供されています。




座席・機内設備
スカイマークの座席は、「大手と変わらない広々とした座席」を装備しており、LCCより広い空間を売りとしています。
また、新型の機体では足元にコンセントが付いており、電子機器の充電に使用ができます。
また、大手と同じく毛布の配布なども無料です。


映画・音楽等
現在のところ、国内線・国際線ともに「Wifi」や機内のシートモニターを搭載していないため、映画・音楽等の「機内エンターテイメント」は使用することができません。
「機内での暇つぶし」が欲しい方は、動画のダウンロード等、地上にいるうちに用意しておくべきでしょう。
スカイマークの口コミ・評判は?
それではスカイマークは世間的にどのような評価を受けているのでしょうか?
各SNS, Expedia, Flyteam, Tripadviserを含め、一般の搭乗客のレビューの中から、たくさん寄せられていた評価をいくつかご紹介いたします!!
高評価(ポジティブ)なレビューと、低評価(ネガティヴ)なレビューどちらも参照しますので、是非予約の際は参考にしてみてください!!
*航空会社に対するレビューやコメントはSNS・インターネットサイトへの書き込みを中心に、同内容のコメントが多かった物を引用しています。あくま航空会社のサービスを把握する指標として使用していますので、参考程度にご参照ください。
レビュー(高評価)
①「値段も安く、ドリンクサービス、荷物の預け入れ、清潔感のある機内、とても満足です!」
②「相変わらずの安さと定時運航率のスカイマークには頭が下がります。素晴らしい会社です。」
③「安いのにLCCみたいな窮屈な座席ではなく驚きだった。」
④「座席下のコンセントも非常に助かります!」
評価としては、90%くらいの人が高評価をつけていました。
特に、①番と③番のような「安いのに、フルサービスで機内環境も良かった」とのコメントが圧倒的で、スカイマークの「コストパフォーマンスの高さ」を物語っているようでした。
さらに近年では、広告などの影響もあり「定時運行率No1」のイメージが付いてきたのか、②番のような「安いのに定時運行で素晴らしい」といった、コメントも多々散見されました。
筆者も、何度かスカイマークを最近利用しましたが、15分以上の遅延は一度もなく、今後も続けてもらえば、さらに評判が上がる点なのではないかと思います。
一方、「タイガースジェット」「タカガールジェット」のように、「特別塗装の機体に乗れて嬉しかった」等の、スポーツファンの方々からの感想も見受けられました。
レビュー(低評価)
①「往復とも非スカイインテリア機材が当たりました。さすがに古さが目立つように感じます」
②「Wifiがない!!!」
低評価は少なかったです。
ただ、①番のような「飛行機が古かった」との指摘もいくつかありました。スカイマークは新しいキャビンを採用しているスカイインテリア機材と、従来の機材が併用されています。
古い、昔の飛行機に当たってしまうと、「古いな」と感じる事もあるかもしれませんが、JALやANAなど大手でも、古い機材と新型機を併用していますので、確率の問題だと感じます。(古い機体でもオンボロというわけではないです)
一方、②番のように「Wifiがない」とのコメントもいくつかみられました。
スカイマークでは、国内線・国際線ともに「機内のインターネット・エンターテイメント(映画等)」関係は、ほとんど設定がありません。
フライト時間で退屈するようなら、本や動画をダウンロードして持ち込むなど、事前に用意しておいた方が良いでしょう。
総括
以上、スカイマークの解説でした。
いかがだったでしょうか?
「安い」「良いサービス」「定時制が優れている」「羽田発着」と、スカイマークは強固な特徴とコストパフォーマンスの良さを誇る、実に優秀な航空会社だと理解が深まってくれれば幸いです。
また、セールを利用すると「茨城-神戸が3600円」といった、LCC以下の破格な航空券も狙うことが可能です。
以前、セールを利用した際の「搭乗レビュー」も下に添付しておきますので、気になる方は読んでいただきたいと思います。
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