日本の中堅航空会社の中で、とりわけ異彩を放つ航空会社が「スターフライヤー」です。
本社を北九州・北九州空港に置き、ANAやJALと比べたらかなり小規模な航空会社ですが、「11年連続で日本の国内航空部門・顧客満足度1位」(2019年度JCSI)を獲得しており、サービスレベルでは大手航空会社の上を行く唯一のエアラインです。
それでは一体、スターフライヤーとはどのような航空会社なのでしょうか? また、11年連続で顧客満足度1位に選ばれる理由はなんなのでしょうか??
北九州の航空会社であるスターフライヤーを、サービス・機内仕様・就航都市・歴史・お客さんの評判等を含め、わかり易く解説します!!!
この記事は2019年12月現在の情報を参考にしています。最新の情報と異なる可能性がありますのでご注意ください。
スターフライヤーの解説

航空会社の解説
航空会社:スターフライヤー
本拠地:北九州空港
ハブ空港:羽田・北九州
設立:2002年
保有機材数:13機
アライアンス:未加盟(ANAと提携)
就航都市:羽田・北九州・関西・山口宇部・名古屋/セントレア・福岡・那覇・台北/桃園
スターフライヤーは福岡県北九州市北九州空港を本拠地とする日本の「中堅航空会社」です。「大手航空会社」よりも安い価格で、「LCC・格安航空会社」よりも、手厚いサービスが受けられる、「スカイマーク」「エアドゥー」などと同じ分類の航空会社とされています。
そんなスターフライヤーの飛行機の塗装は、黒色のラグジュアリー感あふれるデザインで、中堅航空会社の中でも、「サービス」と「機内環境」の2点においては大手航空会社を凌ぐほどのホスピタリティー(「サービスの特徴」の項で詳しく解説します)を感じることができるエアラインです。その評価は世間的にも高く、広々とした機内使用とサービスで「日本の国内航空部門・顧客満足度1位」(2019年度JCSI)を11年連続受賞しています。
ビジネス客を中心にその評価は絶大で、現在は比較的小規模ですが、全国的に展開すれば、JALやANAの顧客さえも脅かすことの出来る航空会社といっても過言ではないでしょう。
近年では、北九州・名古屋中部から台北/桃園への国際定期便も開設しており、日本の中堅航空会社として、東アジアへの積極的な路線展開が今後も期待されています。

歴史
スターフライヤーは2002年に設立。2006年に本拠地を現在の北九州に移し、同時に東京羽田ー北九州間の路線を開設。その後、羽田から関西・福岡路線等、現在に至る路線網を構築するに至りました。
1990年代以降の航空規制緩和後の流れを組んで誕生した航空会社で、その中では唯一、エアバス機を導入しており、エアバスのべストセラー機であるA320(座席数150席)を使用しています。
2007年にはANAがスターフライヤーの株式を保持し、同時にコードシェア(共同運行)を開始。一部の便を除き、ほとんどの便でANAとの共同運行便をしており、ANA側からスターフライヤー便の航空券を購入が可能な他、ANAの上級会員はスターフライヤーでの優先搭乗も利用可能(ANAからの予約に限る)となっています。
2012年には初めての国際定期便である北九州−釜山路線を開設。その後に福岡−関西・福岡−名古屋・羽田−山口宇部線なども開設に至り、2019年には、北九州-台北・名古屋-台北など国際線への進出も加速し、着実に成長を続けています。
資本関係
資本関係は提携しているANAの資本が最大で、約17%を占めています。他に、北九州市に生産工場を置く企業を中心に、TOTO・安川電気・日産自動車・ゴルフライフ株式会社・北九州エアターミナル・九州電力等が出資しています。特に、羽田−北九州路線では、早朝・深夜帯に便があることから、利便性がよく、これらの企業のサラリーマンもよく利用しているとの噂を聞きます。
なお、現在(2019年)、スターフライヤーは東証2部に上場しており、個人でも株式を習得することは可能です。航空券が半額になる「株主優待」なども存在します。
就航路線
現在の就航路線は以下の通りです。
国内線
羽田ー北九州
羽田ー関西
羽田ー福岡
羽田ー山口宇部
名古屋ー福岡
北九州ー那覇
国際線
北九州ー台北/桃園
名古屋ー台北/桃園
路線はハブ空港である、羽田空港と北九州空港を中心に就航しています。北九州−羽田路線は1日10便(往復)近く運行しており、深夜便・早朝便もあることから利便性に優れています。
羽田空港では、唯一行き先により使用するターミナルが異なる航空会社で、福岡・北九州路線は第1ターミナル。山口宇部・関西路線は第2ターミナルが発着となるので注意が必要です。
保有機材
保有する飛行機はエアバスのベストセラー機である、A320型機を使用しています。
また、A320型機は基本的に、大手で約160席仕様・LCCで約180席仕様とされるのに対して、スターフライヤーでは150席仕様としており、大手の航空会社より足元にゆとりがある仕様となっています。
ANAの国内線仕様のA320が166席仕様となっているので、そのスペースの余裕感は実際に搭乗すると顕著に感じられるでしょう。
現在、そんなA320を13機保有していますが、飛行機の数は順次拡大予定です。

安全性
安全性に関しては全く問題ないと言えるでしょう。
スターフライヤーは就航を開始して以来、1度も死亡事故はなく、重大インシデント(重大事故につながる可能性があった事件・事故など)などの発生件数も少ない印象です。
使用している飛行機も、世界中で飛ばされているA320であり、新しい機体が多いため、安全な航空会社であると断言できると思います。
マイレージ・提携航空会社
大手と比べ比較的小規模なスターフライヤーですが、マイレージ制度もしっかり存在しています。
「スターリンク会員」がマイレージ会員制度で、マイル会員になると、航空券の予約・解約・変更等がスムーズになる他、搭乗回数に応じて、「上級会員」の制度も存在します。「ベガ」「アルタイル」の2つのステイタスが存在し、それぞれ専用の特典を受けることが可能です。
アルタイル
獲得条件:前年度10回以上のフライト利用
特典
①ボーナスマイル(120%)
②優先搭乗
③手荷物許容量up + 優先受け取り
④優待クーポン
⑤空席待ちの優先
ベガ
獲得条件:前年度30回以上のフライト利用
特典
①ボーナスマイル(120%)
②優先搭乗
③手荷物許容量up + 優先受け取り
④優待クーポン
⑤空席待ちの優先
⑥前方座席の事前予約
⑦専用デスク
⑧空港ラウンジ
などなど

また、貯めたマイルは航空券にも交換可能で、羽田ー関西の往復で7000マイル・北九州ー台北の往復で15000マイルで交換可能と、良心的なレートです。さらに、「タリーズのコーヒー抽出機」などの商品にも交換可能で、幅広い選択肢から使い道を決めることができます。
一方、ANAと提携関係にあるため、ANAの上級会員であれば、スターフライヤーの搭乗(ANAからの予約に限る)でも空港ラウンジ・優先搭乗などのサービスを受けることが可能となっています。
運賃・チケット
スターフライヤーの運賃は、「大手より若干安く、LCCより高い」運賃設定です。
予約変更不可で、1ヶ月前近くまで購入可能な「格安型のチケット」であれば、羽田−関西が6500円・羽田−北九州が9900円(最安値・筆者が販売されているのを確認したことがあるチケット)で売られていることもあります。
また、普通運賃では、羽田ー関西が23650円(通常期)・羽田ー北九州が37200円(通常期)と、直前購入可能な普通大人運賃でも、大手より1〜2割り安い設定となっています。
座席が広々としていて、大手より安い値段ですので、是非ともお勧めできます。
運賃(国内線一部) | 購入条件・期限 | 予約変更 | 参考料金(片道・羽田-北九州) |
大人普通運賃 | 大人の普通運賃 | ○ | 37,590円 |
往復運賃 | 往復割引運賃 | ○ | 33,090円 |
STAR7 | 7日前まで購入可能 | × | 19,890円 |
STAR3 | 3日前まで購入可能 | × | 22,890円 |
STAR1A/B | 前日まで購入可能 | × | 24,890円 |
スターユース | 満12歳以上26歳未満の方限定運賃 | × | 16,290円 |
シニアスター | 満65歳以上限定の運賃 | × | 16,290円 |
空旅28 | 28日前まで購入可能 | × | 15,290円 |
空旅60 | 60日前まで購入可能 | × | 13,290円(最安値) |
*上記のリストは、一部国内線の代表的な運賃を参考にしています。
*参考料金は2019年11月28日時点での、2020年2月10日(木・73便)の料金を参照にしています。
手荷物制限
*手荷物の詳細は公式ホームページでご確認ください。(下記の情報は2019年12月時点の情報ですのでご注意ください)
国内線の手荷物
国内線の手荷物許容量は基本的に他の航空会社と大きな変わりはありません。
・機内持ち込みの場合は、身の回りの物(バックなど)が1点と、三辺の合計が115cm以内で10kg以下のもの一点に限り機内へ持ち込みが可能です。
・預ける手荷物は、三辺の合計が203cmを超えず、20kg以下のものであれば個数制限なしに預けることができます。(無料の範囲)
預け荷物(無料の範囲) | 機内持ち込み | |
大きさ | 3辺の合計が203cm以内 | 3辺の合計が115cm以内 |
重量 | 20kgまで無料 | 10kgまで |
個数 | 個数制限なし | 身の回り品1つを除き1個まで |
国際線の手荷物
国際線の手荷物許容量は他の航空会社より良心的な許容量となっています。
・機内持ち込みの場合は、身の回りの物(バックなど)が1点と、三辺の合計が115cm以内で10kg以下のもの一点に限り機内へ持ち込みが可能です。
・預ける手荷物は、三辺の合計が203cmを超えず、30kg以下のものであれば個数制限なしに預けることができます。
預け荷物 | 機内持ち込み | |
大きさ | 3辺の合計が203cm以内 | 3辺の合計が115cm以内 |
重量 | 30kgまで無料 | 10kgまで |
個数 | 個数制限なし | 身の回り品1つを除き1個まで |
特徴
スターフライヤーは顧客満足度1位を連年獲得するだけあって、強固な特徴が多数存在します。代表的なものを箇条書きにすると以下の通りです。
①座席が大手よりも広い
②全座席にパーソナルモニター搭載
③機内でコーヒーを頼むとチョコがもらえる
④早朝・深夜便があり利便性が高い(関西/北九州空港)
などなど様々な特徴がありますが最も重要なのは①・②です。
スターフライヤーはA320という飛行機を使用していますが、A320はLCC(格安航空会社)の仕様で約180席・大手航空会社の仕様で約165席なのに対し、150席仕様と、JALやANAよりも足元間隔の広い座席を使用しています。わずか数インチの差と思うかもしれませんが、狭いエコノミークラスでわずかなスペースのゆとりは、フライトの快適性を格段に良いものとしてくれるため非常に人気な点の一つです。
さらに、スターフライヤーでは全ての座席に「USBポート」と「コンセント」が装備されており、スマホやパソコンへの充電が機内で可能となっている点がビジネス客を中心に大変好評です。
近年は、大手航空会社の国内線機材でも、「コンセント」を完備している機材が増えてきましたが、まだまだ古い機体は電源がないものが多いです。
ビジネス客にとっても、観光客にとっても、スマートフォンが普及する現代において、電源の確保は死活問題なため、全ての飛行機に「コンセント」があるスターフライヤーは、そういった面でも好評で大きな強み・特徴と言うことが出来るでしょう。
こういった、機内環境の良さからラグジュアリー感を売りとして、連年国内線顧客満足度NO.1の航空会社として高い評価を受けています。
サービスの特徴
この項ではスターフライヤーのサービスの特徴や機内設備について解説します。機内食やドリンク・映画等に関しては国内線と国際線で大きく異なりますので、それぞれ解説します。
機内食・ドリンク
国内線
国内線のサービスでは、上空でドリンクのサービスが展開されます。
その中でも特徴的なのが、「タリーズ」と提携している「ホットコーヒー」です。コーヒーを頼むと、ビターチョコがおまけでついてきます。ちょっとしたサービスですが、「スターフライヤーではチョコがもらえる!!」とコーヒーを頼む人が多い印象です。
そのほかに、りんごジュースは青森県産の100%高級りんごジュース「希望の雫」を提供しており、一度飲むと、もう一杯頼みたくなるほどの美味しさです。
さらに、路線によってはミネストローネ・オニオンスープも提供されます。
一方、有料メニューではビール(500円)やサーモンのクリームリゾット(500円)などが常時販売されています。

国際線
国際線では無料で機内食が提供されます。(ドリンクは国内線とほとんど同じ)
「日本の四季」をイメージした和風の機内食で、メニューは旬ならではの味をお届けできるよう、季節ごとに変更しています。からだに優しい和食が中心の、スターフライヤーならではの機内食です。


機内設備
座席
A320型機は、通常約160-170席(大手航空会社・全席エコノミー)仕様ですが、スターフライヤーでは、150席仕様となっており、大手より座席間隔が広くなっています。座席には本格レザーシートを導入しており、他の航空会社より広々とした設計で、顧客満足度の上昇に大きく貢献しています。


モニター
国内航空会社で唯一全便・全席に個人モニターを搭載しています。(内容については下記参照)ニュース番組や音楽・飛行マップなどが使用できて快適です。

フットレスト
大手航空会社の国際線にもほとんど装備されていないフットレストが全ての座席に装備されています。足の体勢を変えられるので、エコノミー症候群予防にも効果があります。

電源・USB
スターフライヤーの飛行機には、国内線・国際線共に全席に電源が完備されています。通常のコンセントが足元に、USBの端子差込口がモニターの横についており、どちらからでも携帯等に充電可能です。


映画・音楽等
機内エンターテイメント類では、NHKやBBCのニュースをはじめ、テレビ番組や音楽を視聴可能です。国際線の便のみならず、国内線でも視聴できるところが特徴です。

口コミ・評判は?
それではスターフライヤーは世間的にどのような評価を受けているのでしょうか?
各SNS, Expedia, Flyteam, Tripadviserを含め、一般の搭乗客のレビューの中から、たくさん寄せられていた評価をいくつかご紹介いたします!!
高評価(ポジティブ)なレビューと、低評価(ネガティヴ)なレビューどちらも参照しますので、是非予約の際は参考にしてみてください!!
*航空会社に対するレビューやコメントは、SNS・インターネットサイトへの書き込みを中心に、比較的同内容のコメントが多かった物を引用しています。あくま航空会社のサービスを把握する指標として使用していますので、参考程度にご参照ください。
レビュー(高評価)
①「高級感あふれる革張りシート!広々ゆったりした機内でした!!」
②「名古屋−台北が最安値で予約出来た上、機内食・荷物も無料で機内も広々だった!」
③「CAさんも対応が良く、大手並の接客だった!」
④「席が広くて赤ちゃんがいても快適!国内線では1番良いかもしれない!」
⑤「電源があり移動中に充電できて快適だった。」
高評価のレビューはたくさんありました!!
その中でも①と類似した評価が多く「広々としていてラグジュアリーな機内設備」はかなり高評価を受けている印象です。
また、②のように、大手や場合によってはLCCより安値で国際線を予約することができ、機内食や預け荷物が無料という点で高評価を下しているレビューがいくつも散見されました。
⑤のように、全席に電源が完備されている点においても、ビジネス客を中心に人気な模様です。
レビュー(低評価)
①「機内エンターテイメントがいまいち…。Wifiの方がありがたいかも。」
②「降機の際、バス移動だった。LCCかよ!!!」
…正直、スターフライヤーに関する悪いレビューはかなり少なかったので、上記の2つをあげるのも苦労しました。笑
①に関しては、機内のエンターテイメント類に関してで、確かに若干レパートリーは少なめの印象です。特に国際線では、大手ほどの映画や映像のラインナップはなく、今後の発展に期待です。
また、機内wifiもまだ普及しておらず、今後拡大すると思われます。
②に関しては、確かにスターフライヤーは羽田空港でも沖どめスポット(バスでの搭乗・降機)がたまにあります。しかし、これはJALやANAなどの大手でも便によってはバス搭乗に低確率で当たりますので、スターフライヤーだから特別といったことでもないでしょう。。
全体的に低評価はかなり少なかった(イレギュラー運行のレビューをのぞいて)印象で、乗客の評価はなかなか高いと言えるでしょう。
総括
以上、スターフライヤーについて解説してきましたがいかがだったでしょうか?
スターフライヤーの強みとして、「サービス」「機内環境」という点において、①広々とした機内 ②電源全席完備 ③本革レザーシート ④大手より安い運賃 などなど、たくさんの特徴がある航空会社でした。
現段階では、羽田空港と北九州空港を中心に、比較的小規模ですが、11年連続「顧客満足度1位」に輝く、「日本で1番」のユーザーエクスペリエンスを誇るエアラインであり、今後の成長と国際線への進出に期待が集まる航空会社です。
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